胃炎とは?
「胃酸は食べ物を消化してしまうのに、どうして胃袋を溶かしてしまわないの?」と考えたことはありませんか?
健康な胃の粘膜は、粘液によって胃酸から守られています。強い刺激物の連続摂取で粘液のバリア機能が追いつかなくなったり、過度のストレスによってバリア機能そのものがうまく働かなくなると、胃粘膜に炎症が生じます。この胃粘膜の炎症の総称が「胃炎」です。
原因や炎症の現れ方はさまざまで、大きく「急性胃炎」と「慢性胃炎」に分けることができます。重度の炎症は胃潰瘍・胃がんへと進展することもあります。
当クリニックでは、胃カメラ(胃内視鏡)を完備しております。経鼻内視鏡で楽に検査を受けていただくこともできますので、定期的な検査をご希望の方もぜひ一度ご相談ください。なお、鼻からの検査が難しいこともありますが、その際は鼻用の細い内視鏡で口からの検査が可能です。通常スコープよりも細いので口からであっても比較的楽に検査を受けることができると思われます。
胃炎の症状
胃炎の症状は、急性のものと慢性のもので、その現れ方が大別されます。特に慢性胃炎は急性胃炎と比べて症状が現れにくいため、定期的な胃カメラ検査が早期発見につながります。
急性胃炎の場合
急性胃炎の場合、みぞおち(胸骨下のくぼんだ所)に痛みが生じる他、腹痛、吐き気、嘔吐、吐血、下血(肛門から血が排出されること)などの症状を伴います。
出血が多量のときには、出血性ショックを起こす可能性も高まりますので、早急に医療機関を受診する必要があります。
慢性胃炎の場合
慢性胃炎は、急性胃炎に比べて、炎症の程度と症状の現れ方に相関関係が成立しにくいと言われています。つまり、症状が弱いからといって、胃炎の進行が初期段階にあるとは限りません。
上腹部の不快感、胸やけ、膨満感、食欲不振、胃もたれなどの症状が現れた場合には、その程度にかかわらず、できるだけ早くご相談ください。
胃炎の原因
薬の使用や飲酒や喫煙、ストレスなど、日常生活の中にも胃炎の原因は潜んでいます。胃だけでなく、身体全体の健康を考え、予めリスクを取り除いておくことも重要です。
急性胃炎の場合
急性胃炎の主な原因としては、薬の服用、過度のストレス、アルコール摂取、感染症などが挙げられます。これらにより胃粘液の分泌量が低下することで、バリア機能が十分に働かなくなります。統計的には、急性胃炎の半数以上が薬剤(非ステロイド系消炎鎮痛薬)によるものとされています。
またその他にも、大きな手術の直後や、重度の火傷を負ったとき、身体的ストレスが加わったときも、急性胃炎を誘発することがあります。
慢性胃炎の場合
慢性胃炎は、アルコール、コーヒー、紅茶、タバコの長期間摂取、ストレスの蓄積などによって起こる他、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染もまたその原因の一つと言われています。
ピロリ菌は、強い酸性を示す胃液に耐性のある細菌であり、徐々に胃全体へと広がっていきます。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんへと進展することもあります。
胃炎の治療法
軽度の胃炎であれば、お薬にて症状を抑えた上で、再発しないよう原因に対処します。当クリニックでは、胃カメラ(胃内視鏡)も完備しておりますので、正しい診断と、適切な治療のご提案が可能です。
急性胃炎の場合
症状の現れ方と程度、直近に摂取した食べ物・飲み物を問診にて確認し、軽度であれば、胃酸分泌を抑制する薬、胃粘膜を守る薬を使い、症状を緩和します。その後、そのままご自宅にて安静にしていただきます。
症状が強く現れ、水分摂取ができない、消化管の出血を起こしているといった場合には、入院が必要になることもあります。
当クリニックでは、胃カメラ(胃内視鏡)を完備しておりますので、必要に応じてスムーズに検査を行うことができます。問診だけでは見逃してしまうような小さな病変も、胃の粘膜を直接観察することで早期に発見・治療することが可能です。
胃カメラ(胃内視鏡検査)について詳しくはこちら
上記の治療と並行しながら、急性胃炎に至った経緯を考察し、食事を含めた生活習慣を改善・再発防止に取り組みます。
慢性胃炎の場合
症状の現れ方と胃炎の程度を問診にて確認し、それらに合わせて薬を処方いたします。
ピロリ菌検査を受けられて陽性である場合には、ピロリ菌の除菌が必要になります。ピロリ菌は、除菌しない限り胃に留まり続けますので、症状が現れる前に一度検査を受けられることをおすすめします。
ピロリ菌検査・除菌について詳しくはこちら
それらの治療と並行して、慢性胃炎の原因となるアルコールや喫煙の習慣(禁煙を検討されている方は禁煙外来も行なっておりますので、気になる方は一度ご相談ください。)を改善し、コーヒーや紅茶を含めた食生活の再考も行っていく必要があります。
慢性胃炎の治療では「胃カメラ(胃内視鏡)検査」がポイント
慢性胃炎は、進行の程度が症状として現れにくく、全く症状を伴わないケースも存在します。さらに、気づかず放置していると、胃潰瘍や胃がんへと進展することもあります。
それゆえ、定期的な胃カメラ(内視鏡)による検査が重要になります。カメラを通して直接観察することで、正確な診断と適切な治療のご提案が可能になります。